2025/11/19

安心を届けるために——ある技術者のストーリー
「誰もが安心して乗れるクルマづくりに携わりたい」という想いを胸に、2017年にアドヴィックスに入社した日比暁さん。以来、信頼性技術部で、車両の安全性を追求し続けています。仕事では、スポーツ制動技術の開発車両の整備・評価に取り組み、プライベートでは、フィジーク選手として心身を鍛える。フィジークとは、上半身の筋肉バランスや美しさを競う競技で、髪型やポージングも評価対象となり、自然な筋肉美が求められます。日比さんの毎日は、技術と心身を磨き続ける“鍛錬”の連続。仕事もトレーニングも、入念な準備と記録を積み重ね、昨日の自分を超えていく——その姿勢に、技術者としての誇りとアスリートとしての情熱が宿っています。
社会人2年目、フィジークとの出会い
2016年、入社半年前から友人と筋トレを始めた日比さん。週2回程度、趣味としてトレーニングに励んできました。転機が訪れたのは、2018年冬。友人に誘われてジムに入会したことがきっかけです。フィジークに挑むジム仲間たちの鍛えあげられた筋肉美とストイックな姿勢に圧倒された日比さんは、本腰を入れてトレーニングを開始しました。筋トレ開始前と比べ、約25kgの増量に成功した日比さんは、学生時代の友人に会うと、あまりの体格差にびっくりされるそうです。
「日々の努力が体の変化として、目に見えるのがフィジークの魅力。限界がないからこそ、常に成長できます」と語ります。

初出場で県王者、2度目の挑戦で全国8位
2021年から大会出場を開始し始めた日比さん。初出場で福井県メンズフィジーク選手権大会の176cm以下級で優勝、愛知県大会3位、東海大会4位という快挙を成し遂げました。続く全国大会(オールジャパンフィットネスチャンピオンシップス)では、予選落ちしましたが、その悔しさをバネに翌年には愛知県大会優勝、全国8位入賞を果たしました。2023年には、前年に好成績を残した選手のみが出場できるSPORTEC CUPに初参戦し、8位入賞を成し遂げました。(2024年・2025年は遠方開催のため、大会出場を見送り)
「フィジークをやめようと思ったことは一度もありません。努力を重ねた分だけ、筋肉は確実に応えてくれる。そう信じて続けてきました」と語ります。

(中央・右)2022年の全国大会で堂々のポージングを披露
昨日の自分を超えていく |日々の努力の積み重ね
週5日、1回2時間。平日は仕事後にジムに通い、すべてのトレーニング内容をノートに記録しています。感覚の良かったフォームや気づきも細かくメモし、「昨日の自分を超えること」を毎日の目標に掲げています。
トレーニングでは、重さよりも“どれだけ筋肉を動かせているか”を重視。最大可動域を意識したフォームを追求し、最近では柔軟性やアライメントにも力を入れています。正しい姿勢と動きのバランスを整えることで、狙った部位にしっかり効かせ、ケガの予防にもつながっています。
食事面でも徹底しています。卵、納豆、脂身の少ない豚肉、野菜、キムチ、そしてお米を基本に、減量期には炭水化物の量を調整。会社にも自作のお弁当を持参しています。「筋肉は、日々の積み重ねでしか育ちません」と語るその言葉には、揺るぎない信念がにじみます。

スポーツ制動技術を支える“鍛える”仕事
スポーツ制動技術とは、モータースポーツや高性能車両において、極限状態でも安定した減速・停止を可能にする高度なブレーキ技術です。ドライバーの操作に対する応答性や熱耐性、制動力の緻密な制御が求められます。スポーツ制動技術の開発車両の整備・評価を担当する日比さんの一日は、走行前の準備から始まります。依頼書や過去の実績を読み込み、必要な工具や部品を慎重に選定。天候やテストコースの使用状況にも左右されるため、想定外の事態にも対応できるよう、入念に準備とシミュレーションを重ねています。評価業務では、数字だけでなく、経験に基づいた“確かな感覚”も大切です。車両の挙動を体で感じ取り、数値では見えない違和感や改善点を見つけていきます。まさに“鍛える”ような仕事です。
「何事もメリハリが大事だと思っています。少しでも長く筋トレ時間を確保したいという気持ちが、仕事をてきぱきと進めることにつながっているのかもしれません」と笑顔で語ってくれました。

鍛えることで、広がる世界
日比さんのフィジークへの取り組みは社内報でも紹介され、その真摯な姿勢は社内でも広く知られています。社外の方と仕事をする機会も多く、初対面では「何かスポーツをされているんですか?」と声をかけられることもしばしば。鍛錬を重ねた姿が自然と会話のきっかけとなり、その後、筋トレの相談を受けるなど、関係構築にも一役買っています。
大会当日は、家族や同僚、ジム仲間が応援に駆けつけます。仕事もフィジークもストイックに着実にこなす日比さんに感化される従業員は少なくありません。ジム仲間とは、互いに刺激を与え合いながら成長を目指す関係。競技を通じて生まれた絆は、挑戦を支える大きな力になっています。

(右)切磋琢磨してきたジム仲間とともに大会出場
鍛錬の先にあるもの
2026年は兵庫大会・東海大会・日本大会への出場を予定している日比さんは、「全試合で、優勝します!」と力強く語ります。技術も鍛錬も、積み重ねた分だけ応えてくれます。その信念を胸に、日比さんは今日も“鍛える”ことをやめません。
アドヴィックスでは、従業員一人ひとりがそれぞれの情熱を持ち、ライフとワークを調和させながら成長しています。一人ひとりの鍛錬が、やがて組織の力となり、未来を動かす技術へとつながっていきます。情熱をもって挑み続ける従業員の存在が、アドヴィックスの成長を支えています。
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