2025/10/14

青春の雪山に刻んだ軌跡
アドヴィックスには、学生時代にスキーに打ち込んだ情熱を胸に、今はアイシンスキー部のメンバーとして活躍する従業員がいます。制御・ソフト開発部の伊藤裕樹さんと、要素技術開発部の神谷洋輔さんです。大学時代、伊藤さんは競技スキー部でスピードを追求し、神谷さんは基礎スキー部で滑りの美しさを磨いていました。実は、同じ大学の同じ学年で、別のスキー部主将だった2人が初めて出会ったのは、なんとアドヴィックスの内定式。
雪山で培った経験と学びを携え、彼らは活躍のフィールドをアドヴィックスへと移し、技術者として、同期として、切磋琢磨してきました。そして、たまにスキー場に遊びに行くことはあっても、子育てが忙しくなるにつれ、スキー競技からは遠ざかっていきました。
入社15年目の挑戦──アイシンスキー部に入部
時は流れ、2023年の冬。入社15年目の伊藤さんと神谷さんは、グループリーダーとしてメンバーを率いる立場になっていました。子育ても一番大変な時期を過ぎ、2人は久しぶりのスキーレースに挑戦することを決意します。
伊藤さんは14年ぶり、神谷さんは高校以来、なんと21年ぶりのレース。伊藤さんは長野県で開催された「第40回オールトヨタスキー競技会」の36〜40歳の部で優勝。神谷さんも「第63回刈谷市長杯スキー競技大会」の30歳代の部で優勝という快挙を成し遂げました。
久々のレースながら、確かな手応えと情熱を再確認した2人は、以前から声がかかっていたアイシンスキー部への入部を決意します。

「私の情熱」が「家族の趣味」に
学生時代、命を懸けて取り組んだスキー。今ではアイシンスキー部に所属し、仲間や家族とともにスキーを楽しみ、親子でレースに参戦しています。
伊藤さんは大会前にはお子さんと一緒に練習を重ね、練習後には車中泊にも挑戦。「学生時代に熱中したスキーを家族と一緒に楽しめることが、とてもうれしいです」と語ります。神谷さんは、小学生の娘さんが大会で初めてメダルを手にした瞬間を振り返り、「娘が嬉しそうに表彰される姿を見て、とても感慨深かったです。妻はスキー経験がほとんどなかったのですが、今では一式をそろえ、家族全員の趣味になっています」と語ります。

アイシンスキー部は、アドヴィックスを含むグループ各社の従業員やOB・OGで構成され、60年以上の歴史を誇ります。現在は約50名が在籍し、世代や会社を超えた「仲間」としてのつながりが育まれています。年間約10大会に出場し、オフシーズンにはロードバイクで筋力や持久力を鍛えるなど、心身の成長にも力を入れています。

雪山で磨いた力が、技術とチームを支える原動力に
スキーは、動力を使わずに最もスピードが出るスポーツ。ジャイアントスラローム※では平均時速50〜70kmにも達し、100分の1秒が勝敗を分けます。
「一瞬の判断ミスが命取り。だからこそ、良い滑りができたときの達成感は格別です」と神谷さん。現在取り組んでいる「将来ブレーキ(Electro Mechanical Brake/電動ディスクブレーキ)」の開発では、精密な制御と的確な判断が求められる場面が多く、スキーで培ったこの集中力と冷静な判断力が役立っていると言います。
一方、伊藤さんは電動パーキングブレーキのソフトウェア開発を牽引。「スキーではフルアタック、仕事では慎重に。雪山で全力を出し切る経験があるからこそ、仕事では一歩引いて冷静に判断できる。その切り替えが、技術者としての集中力と、長く走り続けるためのメンタルの安定につながっています」と伊藤さんは語ります。
さらに、スキーは個人競技に見えて、実は仲間との支え合いが不可欠。大会に向けて計画的にトレーニングを積み、互いに助け合う姿勢は、プロジェクト管理やチーム開発にも通じます。スポーツを通じて培ったすべてが、技術者としての力になっています。
※雪の斜面に設置されたコースをジグザグにすべってタイムを競うスキー競技。カーブはほどよく大きく、速さとすべる技術の両方が必要とされる

絆が息づく、アドヴィックスのものづくり
「まさか、入社から15年も経って会社の部活に入ったり、家族とスキーレースに参戦したりする日が来るとは想像していなかったです」と笑顔で語る2人。今では、家族ぐるみの付き合いを続けています。
「神谷さんのお子さんのスキー道具は、伊藤さんのお子さんのおさがり」──そんな温かい関係が、アドヴィックスのアットホームな社風を物語っています。
アドヴィックスでは、従業員一人ひとりがそれぞれの情熱を持ち、ライフとワークを調和させながら成長しています。雪山で果敢に挑戦する技術者たちの姿は、アドヴィックスという企業の本質を映し出しています。情熱を持ち、仲間とともに、家族とともに──その絆が、未来の技術を支えています。

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週末レーサー、平日エンジニア。